TILLEY X246 Porkpie vol.1

光と影は表裏一体。深淵の暗闇を照らすからこそ、光は輝いて見えるのである。そして逆も然り、一条の光明が差し込むからこそ、闇夜の存在が際立つのだ。故に私は灯りを求めるものなり。悠久の彼方より、夜の静寂と共にしてきた古の灯を。

 

これは、1940年代にイギリスで製造された、加圧式灯油ランタンである。入手した当時、ランタンはおろかアウトドアにすら全く興味が無かったにも関わらず、たまたまWEB上で見かけたその姿に一目ぼれしてしまい、気付けばポチってしまったという今でも理由が分からない購入経緯を持つ代物だ。ちなみに、少し専門的な話となるが、このランタンのメーカー名は「Tilley」と言い、そのタンク形状がイギリス伝統であるパイと似ていることから、「Porkpie」の愛称を持つクラシック・ランタンの一つなのだ。骨董品特有の気難しさや入手困難なパーツ等の問題は避けられないものの、この老体が放つ柔らかな灯は私の大切な品々を一際輝かせる大切な光源であり、いわば「Mono Ludens」における影の立役者というべき存在であろう。

 

ところで、この灯油ランタンは昨今のスイッチ一つで点灯する電化製品と異なり、明かりが灯るまで少々手間がかかる。これまた専門的な事で恐縮であるが、点灯するまでの手順は以下に示す通り。

①灯油が気化しやすいように、ジェネレーター(ヴァポライザー)と呼ばれる気化機構を予熱という作業で加熱する。

②十分に予熱を行ったら、次にタンクから燃焼機構へ灯油を供給するために、ポンプで空気を送り込み、タンクの内圧を高める。

③燃料バルブを開放し、マントルと呼ばれる発光機構が無事点灯したら、更にポンピングを繰り返し、タンク内圧を最適な状態とする。

ちなみに、上の画像は予熱の様子。ランタンによって予熱の仕方は異なるが、この機種はプレヒート・トーチというカップ形状の器にアルコールを満たし、それに火を点けるだけ。この時、予熱が十分でないと、灯油が気化されないまま発光機関へ供給され、いわゆる炎上と呼ばれる大変危険な状態に陥ってしまう。まぁ、ちょっとした火事である。

この危険性と手間こそが、マニアには堪らないのだが・・・。

 

深淵の暗闇に佇む様々な「Mono Ludens」それを照らすのは古の灯。

もう一度言おう。

一条の光明が差し込むからこそ、闇夜の存在が際立つのだ。

光と影は表裏一体。美しき静寂の一時を求めるからこそ、私は灯りを求めるのである。

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Author : Shigeki

 

元来、活動そのものよりも、むしろ道具集めに熱心なタイプの自称アウトドア派であった。最近は体調不良という理由に託け、休日の度に一日中インドアでダラダラしている男がいたとするならば、それは間違いなく私の事である。

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